ジルコニアセラミックス (ZrO₂)は、優れた物理的、化学的、生物学的特性を有し、様々な医療用途に最適な材料です。以下では、その主要な特性と代表的な用途についてまとめます。
1. 優れた生体適合性
無毒、非アレルギー性: ジルコニアはニッケルクロムなどの特定の金属合金とは異なり、人体組織との拒絶反応を起こさず、有害なイオンを放出しません。
化学的に不活性で安定: 生理的環境において腐食したり劣化したりしないため (吸収性材料よりも信頼性が高い)、人体への長期にわたる安全な埋め込みが可能です。
応用事例:
歯科用途において、ジルコニアインプラント周囲の組織炎症の発生率は、チタン合金インプラント周囲のそれよりも60%低くなります。
2. 機械性能上の利点
特徴 | 値 | 医学的意義 |
---|---|---|
曲げ強度 | 900–1200 MPa | 手術器具の高頻度動作に耐える |
硬度(ビッカース) | 1200–1400 HV | 手術器具(例:手術用メス)の鋭さを維持する |
弾性率 | 200–210 GPa | 骨と同様に、整形外科用インプラントの応力遮蔽を軽減します |
適用事例:
人工股関節大腿骨頭(摩耗率:0.1 mm/年未満)
低侵襲手術用鉗子(ステンレス鋼の3倍の耐用年数)
3. 化学的安定性
耐腐食性:体液や過酸化水素、エチレンオキシドなどの消毒剤に対して優れた耐性があります。
高温安定性: 134 °C 滅菌でも安全に使用でき、ポリマーベースの器具よりも優れた性能を発揮します。
応用例:
電極や手術鉗子などの腹腔鏡手術器具やロボット手術器具に使用され、耐腐食性と絶縁性により組織癒着を最小限に抑え、手術精度を向上させます。
腹腔鏡手術器具は、500回の滅菌サイクルを経ても性能低下は見られません。
4. 機能特性
電気絶縁性:高周波電気外科用メスや超音波ナイフのヘッドに適しており、漏電を防止します。
低い熱伝導率: エネルギーベースの外科手術中に周囲の組織への熱による損傷を軽減します。
表面改質:研磨(Ra <0.05 μm)またはコーティングにより、細菌の付着を最大70%削減できます。
応用事例:
高周波電気外科用メスや超音波ナイフヘッドでは、ジルコニアの絶縁性と耐熱性により、デバイスの性能が最適化され、組織への熱損傷が最小限に抑えられます。