四重極質量分析計は、特定のm/z(質量電荷比)を持つイオンを分析対象として選択する質量フィルターとして機能します。四重極質量分析計は、感度、分解能、上限質量範囲においてセクター磁場型質量分析計に匹敵するものではありませんが、臨床検査室で広く使用されています。これは、使いやすさ、比較的低コスト、コンパクトなサイズ、そしてガスクロマトグラフィー(GC)または液体クロマトグラフィー(LC)システムとの容易なインターフェースによるものです。
図1. 四重極質量分析装置の概略図
原理:
四重極質量分析器は、双曲線断面を持つ4本の平行な円筒形のロッドで構成されています。これらのロッドは直流と交流電圧によって充電され、イオンの動きに影響を与えます。充電方法は、対角の2本のロッドには同じ電圧が、垂直の2本のロッドには逆符号の電圧が印加されます。
図2. 四重極質量分析装置のメインビュー
イオンは、2本の棒の間に位置する振動する電磁場と相互作用するために、四重極場にゆっくりと進入する必要があります(運動エネルギーはわずか数eVです)。直流(DC)では、電圧UUは一定です。逆に、Vcosωtで表される交流(AC)では、電圧の方向は定期的に反転します。交流電圧が印加されると、イオンが棒に衝突する確率は、イオンの質量(mm)と電荷(zz)、磁場の強度、および振動周波数に依存します。
記号eVは電子ボルトのエネルギー単位で、1ボルトの電位差で加速された後に電子(負電荷1.6×10-19C)が得る運動エネルギーを表します。
メリットとデメリット:
メリット
– 比較的安価でダイナミック
– 迅速かつ簡単な操作、ハイスループット分析
– 高真空条件を必要としない(> 10-7)
– 優れた再現性と従来の質量分析法
– 小型、高速スキャン、高感度
デメリット:
– 質量範囲が狭い (<4000 m/z)
– 分解能が低い (<4000)
– 質量精度が低い (>100 ppm)
– スキャン速度が遅い
– 複数の分析装置が必要
四重極質量分析器は質量分析計の中核部品の一つであり、装置の分解能、感度、安定性を決定します。セラミック四重極部品をご希望の場合は、いつでもお気軽にお問い合わせください。